近畿中央支部 大阪南学園 学園長 矢内なおみ

私がヨガ教室に入ったのは、体を壊して会社を辞めブラブラしていた頃のことでした。 平日の昼の時間帯は主婦の方々で満員御礼の状態。当時27才の私は先輩のおばさまたちに囲まれ、教室の片スミで細い肉体が鍛えられていきました。いえ、多分鍛えられたのは肉体だけではなかったはず。おばさまたちは象や熊の如く、たくましくゆったりと肉体を動かし、子猫のような私を励まし手をとって教えてくれました。彼女たちの熱気で教室中が輝き、それはそれは細胞の内にまでしみ入ってくるようなレッスンでした。そしてそんな私たちを見守ってくれていた“お父さん先生”谷村英一先生の姿が記憶にあります。当時の「根性」の時代が過ぎ今は「癒し」の時に──。 講師となった私を盛り立て協力してくれたのも彼女たちでした。私の師である谷村靖子先生のことばですが、「リーダーにはニ種類あって、ひとつはリーダーシップがあり、カリスマ的存在。もうひとつは限りなく頼りない存在。」ということを教えていただいたことがあります。もちろん私は後者だと思います。いつも座ぶとんの上にのっている私を生徒さんたちにもち上げられている気分がします。頼りない私を支えなければどうなるかわからない、という思いをさせているのでしょうね。どの教室にいっても同様の体験をします。 昔、ある人が私に言ったことがあります。「あなたは金運には恵まれないけど、あなたのまわりには一生善人が集まる。」私は自分でも楽天家の方だと思うし、そうありたいと考えています。今日はどんな善い人と出会えるのかなとよく考えています。そして最近は心の中でいつも言っています。「きっときっといい講師になるよ!」と。

インナームーブ68号より